認知症を疑ったら何をする?
認知症の疑いがあるときは、医療機関で診察を受けましょう。
老化による物忘れの症状もあるので、まずは診断をすることが大切です。
認知症の診断には、さまざまな検査があります。
今回は、認知症のおもな検査や種類について紹介します。
- 認知症を疑ったら何をする?
- IADL(手段的日常生活動作)のチェック
- オレオレ詐欺と認知症
- 長谷川式・認知症スケール
- FASTによるアルツハイマー型認知症
- 簡単検査のMMSE(メニメンタルステート検査)とは
- 言語障害があると検査はできない?
- 血管性認知症の危険因子
- 認知症コールセンター
- まとめ
IADL(手段的日常生活動作)のチェック
IADLとは、「手段的日常生活動作」のことです。
軽度の認知症かどうかを調べる検査で活用されています。
厚生労働省では以下の8項目を設けて、IADLの尺度の指標としています。
それぞれの内容について、できる程度を5段階で評価してみましょう。
- 電話を使用する能力(自分で番号を調べて電話をかけるか)
- 買い物(すべての買い物を自分で行うか)
- 食事の準備(自分で献立を考え準備・給仕までするか)
- 家事(日常的な範囲のことをすべて自分で行うか)
- 洗濯(すべて自分で行うか)
- 移送(自分で運転したり公的機関を利用して旅行したりするか)
- 自分の服薬管理(適正な量の薬を規定の時間に飲めるか)
- 財産取り扱い能力(銀行手続きやお金の出し入れ)
上記の項目が、日常的にスムーズに行えているかを評価します。
たとえば、「家事ができない→0、家事ができなくなってきた→3、家事はできる→5」といった具合に点数をつけていきます。
認知症が進むと、料理の手順を忘れてしまう傾向があります。
総合点数が低い方は、早めに病院で診断しましょう。
オレオレ詐欺と認知症
IADLが低下した方は、軽度の認知症の疑いがあります。
いわゆるグレーゾーンの認知症です。
オレオレ詐欺は、こうしたお年寄りをターゲットにしています。
高齢者には、騙されてもプライドがあるため、相談できない方もいます。
軽度の認知症は見極めが難しいので、日ごろから周囲の人が気を配っておく必要があります。
長谷川式・認知症スケール
長谷川式認知症スケールは、認知機能のスクリーニング検査です。
長谷川式スケールと脳の萎縮をみるCT検査で、記憶障害の程度を診断するケースもあります。
長谷川式は、30点中20点以下の場合に疑われますが、それだけで認知症と断言できるわけではありません。
FASTによるアルツハイマー型認知症
FASTはアルツハイマー型認知症の重症度判定に用いられます。
認知症の進行度を7段階に分類しているのが特徴です。
診断では、現在の状態や今後どのように症状が進んでいくかを、判断することが多いです。
たとえば、ステージ6の進行度は、入浴に介助が必要になったり、失禁する状態です。ステージ7では話ができなくなったり、感情の表現が乏しくなります。
簡単検査のMMSE(メニメンタルステート検査)とは
MMSEは、認知症が疑われるときに行われる神経心理検査のひとつです。
正式名称をメニメンタルステート検査といい、国際的に用いられています。
認知機能の低下を短時間で、簡単に評価できる特徴があります。
質問式の検査によって、見当識や記憶力、計算力、言語能力、図形の把握能力などをチェックします。
認知症が疑われるときは、問診・診察による病歴や症状の確認、血液検査や画像検査などの鑑別検査を合わせて行うことが多いようです。
言語障害があると検査はできない?
言語障害があると認知症の検査はできないと思われている方もいます。
しかし、絵や文字を使うなど特性に合わせた工夫をすることで行なうことは可能です。
たとえば、言語障害があっても文字盤や頷きなどで評価を行うことができますし、行動からも観察できます。
言語はひとつの側面でしかありません。
総合的に認知症かどうか判断されます。
血管性認知症の危険因子
脳血管性認知症は血管のダメージが蓄積しておこります。
メタボリックシンドローム(生活習慣病)が関係している認知症です。
脳血管性認知症のリスクを抑えるためには高血圧、糖尿病、高コレステロール値といった生活習慣病に加え、喫煙、肥満を控えたほうが良いです。
高血圧や動脈硬化、糖尿病、高脂血症といった病気は、脳梗塞を引き起こすリスクが高いため、結果として血管性認知症の危険因子となります。
日頃から生活習慣病に気をつけて、認知症の予防につなげましょう。
認知症コールセンター
認知症コールセンターは、認知症の人やその家族のかかえる不安軽減を目的とした電話相談です。
対応には、同じように認知症の人を介護された経験のある方が担当します。
電話なので自宅から出ることなく、相談できます。
まとめ
認知症は検査よりも、その結果を受けて日常生活の支援につなげることが大切です。
たとえば、何度も場所を確認するおばあちゃんがいても、認知症だと診断されれば、周囲の人もその都度、場所を伝えることが当たり前になります。
危険なのは、自信を喪失させて、認知症の方の尊厳を傷つけてしまうことです。
介護で重要なのは、その方の尊厳を保持して、自立した生活を営めるように支援することです。
本日もありがとうございました。