介護や福祉にとどまらず、集団が形成されると独自の特性がみられるようになります。
こうした集団の力学はグループダイナミックスといい、個人や組織にプラスとマイナスの影響を及ぼします。
プラス面では、メンバーの団結力が高まります。マイナス面では、多数派の影響を受けて、自分の考えを変えてしまうことがあります。
今回は、ケアの団結力を高める方法を考察してみました。
集団の凝集性とは?
集団の団結力、つまり集団の凝集性(ぎょうしゅうせい)とは、集団のメンバーがお互いに好意や魅力をもちあう程度のことです。
集団の一員として動機づける度合いでもあり、集団にとどまらせる力にもなります。発見したのは「レヴィン・K」という人物です。
集団凝集性は、さまざまな要素の結果として現れます。具体的には、構造的統合、対人的魅力、共有的態度などです。
団結力を高めるには?
集団はメンバーが納得した目標であれば、それに向かって力を発揮します。ところが、組織の目標が一致しない場合はヤル気に繋がらず、生産性が低下することもあります。
集団の凝集性(=メンバー同士の団結力)を高めるには、メンバー間の異質性ではなく、同質性(同じような価値観や考え方を持つこと)を強化する方が重要です。また、他の集団との競争促進も効果的です。
凝集性のデメリット
凝集性が高ければ、必ず業績が上がるわけではありません。メンバーの親近感が強まると、その関係性を壊す事を恐れます。
たとえば、自分の意見と他のメンバーの意見が異なる場合でも、意見を言わなくなったりします。少数派の意見は検討もなく、却下される事もあります。
集団の凝集性が高まると警戒心は弱まり、意思決定は安易な方向に流れがちになります。集団浅慮に繋がりやすくなる危険性もあります。
集団浅慮とは
集団浅慮(せんりょ)とは、集団の仲間意識が強くなりすぎて、外部からの意見や注意に耳を傾けないことをいいます。
たとえば、自分達が正しいと思い込んだり、集団の中の一部の人間の意見は絶対に正しいと考え、結果的に間違った方向性に進んでいく危険性もあります。
コンフリクトとは
コンフリクトとは、集団内部に発生する対立や闘争です。対立というと否定的にとらえがちですが、良い面もあります。
たとえば、問題に向き合う意欲が高まったり、意見の衝突によって新たな視点が生まれるケースです。
コンフリクトの否定的な部分を「非生産的コンフリクト」といい、肯定的な部分を「生産的コンフリクト」といいます。
まとめ
集団の凝集性を高めるには、メンバー間の異質性(違い)を強化するのではなく、同質性(共通点など)を見出し、結束力を強化することが重要です。
コンフリクトは対立や闘争という意味ですが、集団に肯定的な影響を与えることもあります。例えば、集団内で意見が対立し揉まれることで、組織が活性化するなどです。
団結力の高め方は会社やチームそれぞれですが、こうした理論が参考になれば幸いです。本日もありがとうございました。