ミネラル(無機質)の種類とは
5大栄養素のひとつミネラル。少し影が薄い栄養素ではありますが、ミネラルが足りなくなると肌に輝きがなくなったり、味覚障害を引き起こす一因にもなります。
ミネラルには様々な種類があります。特に人間が生存するために必要なものを「必須ミネラル」と呼び、16種類あります。その16種類の中でも、必要量が100㎎以上のものを「多量ミネラル」といいます。つまりミネラル中のミネラル的な存在といえます。
多量ミネラルは7種類あります。ナトリウム、カルシウム、カリウム、マグネシウム、リン、硫黄、塩素です。また鉄や亜鉛といった微量ミネラルもあります。今回は知っておきたい主要ミネラルの特徴と食品、効果を紹介していきます。
- ミネラル(無機質)の種類とは
- ナトリウムの役割、過剰摂取のリスクとは?
- カリウム(K)の食品と効果とは?
- カルシウム(Ca)の摂取量と役割とは
- 鉄の欠乏と貧血
- 亜鉛(Zn)不足による味覚障害
- リンを含む食品と効果
- マグネシウムの役割とおすすめの食材は
- ミネラルまとめ
ナトリウムの役割、過剰摂取のリスクとは?
多量ミネラルのひとつがナトリウムです。体に必要なミネラルですね。1~2歳のナトリウムの食事摂取基準は男女3㌘未満/日です。ただし、妊婦におけるナトリウムの付加量は設定されていません。通常と同じ推定平均必要量と目標量が示されています。
ナトリウムで有名なのが、料理に使用される食塩です。食塩の主成分は塩化ナトリウムです。ですから通常の食事をしていれば、食塩からナトリウムを摂っているので、欠乏することは殆どありません。
もしナトリウムが欠乏していたら食欲不振やめまいがおきやすくなります。症状がある方は塩分の摂取を見直しましょう。逆に心配されるのが、塩分の過剰症です。ナトリウムを過剰摂取すると、高血圧や胃がんのリスクを高めます。
ナトリウムの働きはいろいろあります。ナトリウムは細胞外液に存在しており、水平平衡の維持、消化液や分泌液を調整してくれます。またナトリウムは神経の伝達を助け、体液の浸透圧や生体機能を調整してくれます。つまり、神経の興奮、伝達、筋肉の収縮が気になる方はナトリウムを摂取した方が良いのです。塩素は胃液中の塩酸の形成に利用されます。
カリウム(K)の食品と効果とは?
カリウムは野菜類に含まれるミネラルです。加熱によわく水に溶けやすい特徴があります。野菜を煮て食べる場合は、煮汁も一緒に食すると効率よく摂取できます。野菜や豆類などに多く含まれるカリウムは、神経や筋肉の興奮伝導に関与しています。また、体液のpH、浸透圧の維持にも影響を及ぼします。
カリウムも必須ミネラルで多量ミネラルです。水分バランスや心臓の規則的な鼓動を保ち、血圧を下げるのを助けてくれます。つまり、カリウムは心臓の働きを正常に保つ効果があり、疲労感や脱力感を防いでくれるのです。欠乏すると高血圧や不整脈、筋力低下などがみられます。
心臓がバクバクするような方は積極的に摂取した方がよいかもしれません。カリウムが多く含まれる食品は、サツマイモ、大豆、いわし、バナナ、トマト、すいかなどです。疲れやすい方はバナナを食べるのも効果的です。
カルシウム(Ca)の摂取量と役割とは
カルシウムは骨の成分であり、筋肉の収縮に関与しています。カルシウムといえば骨!という感じですよね。カルシウムは骨だけでなく、歯の構成成分でもあります。また血液に凝固性を与えくれるほか、筋肉の収縮、神経伝達、浸透圧の調節にも関与します。
カルシウムは体重の約1~2%を占めています。つまり、生体内に最も多く存在するミネラルです。このうち99%は骨と歯です。食事摂取基準が最も多い年齢は12~14歳ですが、これは骨密度が急速に増加するためでもあります。ちなみに授乳婦の付加量は+0と設定されています。妊娠や授乳中は腸管からのカルシウム吸収率が上昇します。
効率的にカルシウムを摂取するのには牛乳や乳製品が最適です。牛乳・乳製品を中心に小魚、海藻、豆類、野菜などの食品からバランスよくとりましょう。脂質異常症(高脂血症)などで脂質のとりすぎが気になる場合は低脂肪乳を利用したり、牛乳が苦手な場合は、チーズやヨーグルトでとったり、料理に加えたりして工夫するのも悪くないですね。
鉄の欠乏と貧血
鉄は微量ミネラルです。ヘモグロビンの成分なので、欠乏すると貧血の原因となります。鉄分は筋肉における酸素の利用、保持に役立ちます。また、細胞核中の染色体の形成にかかわっており、酸化還元を行う酵素の成分となります。
鉄が含まれている食べ物で良く知られているのがレバーです。もちろん、レバーだけでなく植物性食品にも含まれています。食品中に含まれている鉄は2種類あります。肉や魚などの動物性食品に含まれている「ヘム鉄」と、野菜や豆類などの植物性食品に含まれている「非ヘム鉄」です。
動物性食品の方がヘム鉄を多く含みます。とくにレバーや赤身肉など、濃い色の肉には比較的鉄が多く含まれています。また赤身の魚や、あさりの水煮などの貝類にも鉄が多く含まれています。非ヘム鉄は小松菜やほうれん草などの野菜や納豆、豆腐などの大豆製品の植物性食品にに多く含まれています。
亜鉛(Zn)不足による味覚障害
亜鉛も必須ミネラルのひとつです。骨、皮膚、肝臓、腎臓、肉などに存在しており、たんぱく質・拡散の代謝に関係しています。亜鉛は多くの酵素の構成成分です。そのため亜鉛が不足すると味覚障害、発育障害、機能性障害を引き起こします。
具体的には、亜鉛が不足すると、たんぱく質やDNAの合成がうまく行えなくなくなります。そのため成長障害が起こります。また、亜鉛は味を感じる「味蕾細胞」をつくるのに必須なミネラルです。つまり、亜鉛不足になると味を感じにくくなる味覚障害になる可能性があるのです。
亜鉛不足による症状としては、貧血、食欲不振、皮膚炎、生殖機能の低下、慢性下痢、脱毛、免疫力低下、低アルブミン血症、神経感覚障害、認知機能障害などがあります。かなり体調に影響してくる重要なミネラルです。
亜鉛を多く含む食品には魚介類、肉類、藻類、野菜類、豆類、種実類があります。特にかき(養殖/生)には100gあたり14.5㎎と亜鉛が多く含まれています。また、うなぎの蒲焼100g(1串)には2.7㎎、豚・肝臓生100gあたり6.9㎎が含まれています。土用の丑の日にうなぎを食べるのは先人たちの知恵といえるかもしれませんね。
リンを含む食品と効果
リンは体内のミネラルの中で、カルシウムに次いで多い栄養素です。リンには、疲労回復効果も期待できます。しかし、欠乏すると新陳代謝の低下、倦怠感、筋力の低下などがみられます。
リンは食品中に広く含まれています。また、リン含量の高い食品が多いため、体内で不足することはほとんどありません。リンが多く含まれるのは、チーズ、魚類、肉類、ごま、穀類、そばです。リンは十二指腸や回腸、大腸などで吸収され、そのほとんどが最終的に尿中に排泄されます。
近年、血清中のリンの濃度が低いと、糖尿病や高血圧などのメタボリスクを高める可能性を示唆する研究結果が報告されています。リンの摂り過ぎるとカルシウムの吸収を妨げます。そして、カルシウムの摂り過ぎはリンの吸収を妨げます。
そのためカルシウムとリンの摂取比率は、ほぼ同量が望ましいです。加工食品の摂取が多い場合には注意すると良いかもしれません。
マグネシウムの役割とおすすめの食材は
マグネシウムは、骨の健康の維持と体内の多くの酵素反応に必要な栄養素です。多量ミネラルのひとつでもあります。マグネシウムは、生体内で約50~60%がリン酸塩や炭酸塩として骨に沈着しています。そして、残りの約40%は筋肉や脳、神経に存在します。
2015年度の食事摂取基準によると、1日のマグネシウムの推奨量は18~29歳男性では340㎎、30~49歳男性では370㎎、50~69歳男性では350㎎、70歳以上の男性では320㎎です。一方、女性は18~29歳で270㎎、30~69歳では290㎎、70歳以上では270㎎と設定されています。
マグネシウムは野菜、穀類、豆類からの摂取量が多くなっています。がんもどきやアーモンド、さばの缶詰、ホタテ貝、するめいかなどからも摂ることができます。
ミネラルまとめ
5大栄養素の中では存在感の薄いミネラルですが、体調管理や味覚、美肌にも影響のある栄養素です。しっかりと食べてツヤ肌にもしたいですね。簡単に摂取できる食べ物としては、バナナがおすすめです。本日もありがとうございました。